「オイ、どこへ行こうか?」 この頃のオジさん、時たまこんなことを言う。当然なのかもしれないなぁ。三崎の町、公園らしい公園も無い。ただ毎日同じ道を歩いているんだから。
僕(盲導犬)と歩いているんだから、当然なんだけど、海に行っても、海の青、波の輝きや、波の動き、周りの景色の変化、毎日来ても違うはずなのに、オジさんの目には何も見えない。ただ頭の中で想像するだけ。
歌心も、詩の一つも浮かばぬ、想像力に乏しい?オジさん、どこかに物足りない?何かがおきだしてきた。盲導犬と歩けるだけでも幸せなのに。何か一つを得ると、何かまたほしくなる、これオジさんのえごなのかそれとも贅沢なのか?
?今日も気持ちの良い春の1日。「満開のさくら、みてぇなぁ。アレッ、ツバメのさえずりかぁ?」
オジさん、春なんだよ、春。